虫歯の知識Q&A
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- Q.歯の着色しないようには、普段どう気を付ければいいですか?
- A
歯の色が茶色かったり黄色みかかっていて気になるというお声をよく耳にします。歯の表面に沈着している着色汚れであれば歯科医院でクリーニングすることが可能です。では白い歯を保つために、歯が着色しないように日常できる工夫はあるのでしょうか?
■歯の着色って何?
虫歯でなくても、歯の表面に歯ブラシで磨いても落ちない色素や汚れが沈着してしまうことがあります。日々歯磨きをしっかりしている人でも、お茶やコーヒ、ワインなどの飲料やカレーやミートソースなど濃い食物の色素、喫煙者はタバコのヤニ等が表面にこびりついてしまいます。この沈着汚れを「ステイン」といいます。
■なぜ歯の表面が着色するの?
歯の表面は「ペリクル」という薄い皮膜で覆われており、色素とペリクルが反応し色素を沈着させ、ステインにして沈着させてしまいます。
歯の表層のエナメル質が持つカルシウムイオン(+)とステイン(-)が結合するため、歯ブラシで着色部分を磨いても一向に汚れが落ちない状態になってしまうのです。
■着色しないようにするにはどうしたらいいの?
極端なことをいえば、色素の沈着しやすそうな濃い飲食物を摂らず禁煙すればよいのです。ですが、コーヒーやワイン、タバコなどの趣向品はなかなかやめられないという人も多いでしょう。
たとえば、ペリクルに色素が摂り込まれないよう、飲食後や喫煙後に水を飲んでお口をゆすいだり、コーヒーやお茶はストローを使って飲むといった工夫も効果が期待できます。
ただし絶対に着色しないという保証はありません。表面はきれいでも、歯と歯の間や歯と歯ぐきの境目、歯の裏側あたりについてしまうことも考えられます。
■着色しにくい効果の歯磨き粉を活用
歯磨き粉には歯垢を落とすための基本的な成分の他に、着色汚れが付きにくくするための成分や、歯の表面に着色が結合しにくいようにする成分を配合した、着色汚れ対応を売りにした歯磨き粉があります。日常的な歯磨きの中に、このような清掃補助具も取り入れてみてもよいでしょう。
■歯科医院での定期的なクリーニングがおすすめです!
歯科医院では歯の表面を削ることなく着色汚れだけを落とす機械や歯科器具を使ってクリーニングを受ける事ができます。定期的にクリーニングを受ければ歯の表面がクリアになり、着色しにくくなります。また、歯磨きの指導やおすすめの歯磨き粉なども聞くことができるので、定期的にお口のチェックとケアをしてもらいましょう。
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- Q.差し歯による歯茎の変色(メタルタトゥー)は、元に戻せますか?
- A
差し歯にすると歯茎の周りが黒っぽく変色してしまっている方が多くいらっしゃいます。この現象を「メタルトゥー」といいます。
「差し歯にしたら歯茎は黒くなるもの」と思って諦めていませんか?黒くなる原因を知り、対処すれば改善できる場合もあるのです。
■なぜ差し歯をすると歯茎が黒くなるの?
歯の神経の治療後におこなわれる一般的な保険適応の差し歯は、歯の根っこに金属の土台を立ててその上に人工的な修復物を被せる方法でおこなわれます。歯茎が黒くなってしまう原因は、この土台に使われる金属や被せ物に使われている材料の金属が影響しているとされています。
〇黒くなる原因の金属とは…
差し歯をするための土台の芯や被せ物の内側に使われる金属は、「合金」が使われています。そして、合金の中に入っている「銀」成分が歯茎を黒くさせる要因なのです。
■銀が歯ぐきを黒く変色させていた?!
差し歯がもしもセラミックで作られていたとしても、内側には強度を保つために合金が張られている場合がほとんどです。そこで、どうしても金属が歯茎と接してしまいます。
そして唾液の影響で金属イオンが歯茎へ溶け出してしまい、中に含まれる銀イオンの作用で歯茎が変色するというわけです。
〇歯の内部からも変色する
また、土台にするために埋め込まれた芯の金属は、歯の内部の「象牙細管」という組織を通じて歯の根っこを黒く変色させてしまうことがあります。この色が歯茎も黒く見せる要因のひとつです。
■歯茎の変色「メタルトゥー」は元に戻せる?
まず、原因となっている銀イオンの溶出を止めるために、合金を使っていない「非金属」の装置に入れ替えることが必要です。ただし装置を交換しても必ずしも元に戻るとは限りません。長年歯茎が銀イオンの影響を受けている場合は、装置を変えても完全に元のピンク色の歯茎に戻らないこともあります。
〇装置を入れ替えても戻らない場合は…
装置を変えても歯茎の色が戻らない場合には、歯科用レーザーで歯茎の深層にある原因の色素を取り除く治療を施すという方法もあります。歯茎自体の変色なのか、歯茎内部の装置の問題なのか等によって装置を変えるだけで済むのか、レーザーを用いた方が良いのか等の判断は自分では難しいものです。まずは遠慮なく歯科医院に相談されることをおすすめ致します。
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- Q.根管治療を完治するまでにどのくらいの期間が必要なのか?
- A
不幸にして歯の根っこにある神経を抜くことになった場合、根っこの中の治療が必要になります。これを「根管治療」といいます。よく「治療が長引いている」といったようなことを耳にするのは、大抵がこの根管治療期間のことです。
では、根管治療が完治するまでにはどのくらいの期間がかかるものなのでしょうか…。
■根管治療期間は状態によって大きな差があります
根管治療の約90%は、根っこの中の「根管」という部分を清掃し中が綺麗になるまでにかかる治療回数は2~3回の来院回数で終わります。1週間に1回程度のペースで消毒に通い、詰め物をするまでを考えると、約1ヶ月~1ヶ月半くらいが目安です。
〇神経を抜いた後、根管内の予後が悪い場合
中には神経を抜いた後すぐに根管内が綺麗にならず、根っこの先から膿や浸出液が上がってくる場合があります。この場合は消毒の来院に4~5回かかることがあります。
〇根っこの状態が悪いと長引くことも…
長い場合には治療が数か月間かかることもあります。根っこの中の細菌感染が酷く、消毒に通っていてもなかなか根管内が綺麗にならないので塞ぐことができないのです。すぐ抜歯せずできるだけ自身の歯を温存するため、根気よく治療を続けて半年以上通っているという例もあります。
■「根管内の状態が悪い」とは?
神経抜くことになった理由が、虫歯が深く神経が死んでしまい放置している時間が長かった場合や、神経が腐敗して歯の根っこに膿が溜まって腫れて痛みが出ていても我慢していた場合。こうなると根管内は細菌感染が進行し、2~3回消毒のために洗浄したくらいでは綺麗になることはありません。そして少しでも細菌の塊である膿を残してしまい治療を完了するようなことがあれば2次的な感染を引き起こすことも考えられるため、どうしても治療が長引いてしまいます。
〇治療方針は歯科医院によって違いがあります
根管治療をずっと続けていても治りが悪いという方へどう提案するかは歯科医院によって方針が異なります。温存できないとして抜歯を提案することもあるでしょうし、どうしても抜きたくないという方には保険外診療の根管治療を提案する場合もあります。治療期間に疑問や不安がある場合は、一度治療方針などを確認されることをおすすめします。
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- Q.根管根充とはどのような状態のことをいうのか
- A
やむを得ず神経を抜いてしまった歯は、歯の根っこにできた空洞を洗浄・消毒を繰り返しおこなう「根管治療」をおこないます。今回はその後施す「根管根充」についてご紹介します。
■根管根充とは?
根っこの治療中のことを「根治」と呼ぶのに対し、根っこの中が綺麗に治ったあと先の部分までお薬をしっかり詰めて蓋をする治療を「根充」といいます。
〇神経が無くなった歯なのに詰める必要があるの?
根っこの治療が終わっても、歯の中に空洞があると細菌感染してしまう恐れがあります。せっかく根っこの治療が終わっても、根充やその後の治療を受けないままでいると危険です。根っこが再度病変し、顎の骨を吸収するなどの悪影響をもたらすこともあります。
そこで、神経が無くなった空洞(歯髄腔といいます)に隙間なくお薬を詰める根充をおこなう必要があるのです。
■根管根充治療の流れ
まず根っこの先端までの長さを器械で計り、その深さまで歯科材料を詰めます。その後レントゲン撮影で根っこの先までしっかり隙間なく材料が入っているのを確認したら歯の表面の穴を塞ぎます。根充の方法はいくつかありますが、ポピュラーな材料が「ガッタパーチャ」という熱によって変形しやすくゴム質感のある材料を用いた方法です。
〇側方加圧根充法
メインとなるガッタパーチャを、あらかじめ計測した根っこの長さで折り曲げるなど印を付けておきます。そして先端に糊のような役目をする薬剤を付け根っこに挿入。その後周りのすき間を埋めるように、アクセサリーポイントと呼ばれる細いガッタパーチャにも薬剤を付けながらを周りに押し込み、熱した器具で横からの圧力をかけつつ隙間を埋めていく方法です。
〇垂直加圧根充法
歯の根っこの太さのガッタパーチャをある程度熱して軟らかくなった状態で挿入し、器具で根っこの先の方向に向けて垂直に圧力をかけて押し込んでいきます。そして圧力をかけて穴が残った部分にさらにガッタパーチャを追加して再度圧力をかけることを繰り返しながら隙間を埋めていく方法です。
■根管根充のあとは?
根っこの状態が落ち着き予後がよければ人工的な修復物(銀歯や差し歯等)で歯冠の形状を修復します。神経が無くても根充して歯冠を修復すれば問題なく使えるようになりますが、中には根充後も根っこの予後が悪くなり、再度歯の根っこの治療をすることになったり、最悪の場合抜歯することになるケースもあります。ですから、表面上は治ったようでも定期的に検診を受けることをおすすめします。
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- Q.なぜ定期検診が大切なのか
- A
一般的に歯科ではよく、「半年に一度は定期検診を受けましょう」と勧めており、当院でも定期的にメンテナンスを受けたい方へ、個々のお口の状態に適した定期的な来院をご提案しています。なぜ歯科では定期検診が大切だと考えるのでしょうか…。
■歯科検診は何のためにあるのか
ひと昔前の歯科医院といえば「虫歯になってから治療に行く場所」でした。
しかし虫歯や歯周病が悪化してから歯科医院に行くのではなく、未然に防いだり初期段階で治療することで痛みや費用面からも負担軽減につながるため、定期的にプロのチェックを受けることが推奨されています。
医科でも人間ドッグがあるように、歯科でも定期的にお口の状況を確認することが大切なのです。
■定期検診を受けることのメリットとは?
・虫歯や歯周病の早期発見・早期治療
初期段階の虫歯や歯周病は見た目ではわかりにくく痛みも出ないことが多いため、自分で気づくことは難しいでしょう。そこで定期的にお口の状態をチェックしてもらっていれば、もしも虫歯や歯周病が見つかったとしても初期段階で治療することができ、悪化して治りにくい状態になる前にケアすることができます。
・歯磨き指導を受けることができる
どんなにしっかりと歯みがきしていても100%の汚れを落とすことは難しく、どうしても磨き残しができてしまいます。また、磨きグゼがあることも多く、自分では気づかないうちに同じ部分に汚れが残ってしまうということもあります。
定期的に歯科医院で歯みがきチェックをしてもらって磨き残しの歯垢や歯石のクリーニングをしてもらうのも虫歯・歯周病予防に繋がります。また歯磨き指導を受けることで、磨きグセの改善や歯磨きのスキルをアップすることもできますよ。
■「歯医者=痛い思いをするところ」ではないのです!
もしも定期検診を受けておらず、虫歯や歯周病に気付かないまま生活していれば、症状はどんどん悪化する可能性があります。症状が進行し、痛みを伴って歯科医院を来院した時点での治療は、痛みを伴ったり麻酔を使うことになったりと、患者様の身体的・精神的な負担は大きくなってしまいます。
痛みのない治療をおこなうためにも、定期的な歯科検診はとても大切な役割を担っており、きっと患者様の歯科へのストレスも軽減してくれることでしょう。
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- Q.チョコレートを食べると虫歯になりやすいですか?
- A
虫歯になるお菓子代表のように思われがちな「チョコレート」ですが、本当に虫歯になりやすいおやつの代表格なのでしょうか?
チョコレートと虫歯の関係やなりやすさなどを解説します。■チョコレートは虫歯になるの?
結果から言えば「虫歯になります」。
しかし、食べたからといって必ずしも虫歯になる食べ物というわけではありません。
虫歯といえば「甘いもの」で発生するというイメージから、チョコレートが虫歯の原因のおやつの代表格のような気がしますが、本当に「甘さの強さ=虫歯」なのでしょうか。■なぜ虫歯はできるのでしょう
チョコレートに含まれる「砂糖」が口内の常在菌の大好物で、糖分の含まれたチョコレートをたべると糖分を分解するために「酸」を産生します。この酸によって歯が溶かされやすい口内環境になりますし、さらに歯磨きを怠ると歯垢が形成されます。歯の表面に歯垢が沈着してしまうと、常に歯が酸にさらされている状態になり溶けるという流れで虫歯が発生してしまうのです。
■チョコレートでも虫歯に「なりやすい・なりにくい」があります!
先にご紹介したように、できるだけお口の中にチョコレートが残らないようにすれば虫歯になるリスクは低くなります。
同じチョコレートでも、板チョコやナッツ入りのチョコ、ウエハースに挟まれているチョコ、スナック菓子をコーティングしているチョコ…とたくさんのチョコレート菓子がありますよね。食べる時に「できるだけお口の中に残りにくいチョコレート」をイメージして選ぶようにしてみてください。何も入っていないプレーンな板チョコが一番お口に残りにくいのがわかりますね。また、最近では代用糖を使ったチョコレートや、糖分控えめのチョコレートなど、虫歯だけでなく健康にも留意した商品もたくさんあります。■「食べたらダメ」ではなく、口内ケアで虫歯予防!
時折甘いものを食べることはストレス解消やメンタルバランスを整えるともいわれています。虫歯予防のためにチョコレートを控えたとしても、他の飲食物で糖分を摂取すれば虫歯のリスクを避けることはできません。食べられないというストレスを抱えるよりも、選び方の工夫や、食べた後お口に残らないように水分を摂取したり歯磨きをするなどの工夫で虫歯は予防できるのです。
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- Q.虫歯を治療しなかったらどうなりますか?
- A
虫歯をそのまま放置しておくと、どんどん進行します。
小さい虫歯なら歯を削る量も最小限になりますが、進行してしまった虫歯では神経にまで達していることもあり、歯へのダメージが非常に大きくなり、最悪の場合抜歯しなければなりません。
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- Q.虫歯と歯周病の違いはなんですか?
- A
虫歯と歯周病の違いは、発生する場所にあります。
虫歯は歯に起こる病気で、「ミュータンス菌」などの菌が歯の組織を破壊していきます。
それに対し、歯周病は歯の周り(歯茎)に起こる病気で、歯茎が後退することで歯根が露出し、歯が抜け落ちやすくなります。
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- Q.虫歯が自然に治ることはありますか?
- A
初期段階の虫歯は、再石灰化することで自然に治ることも考えられますが、初期段階を過ぎてしまった虫歯は残念ながら自然に治ることはありません。
腫れや痛みがなくなったからといって、虫歯は治っていません。
しっかりとした治療を受けて、手遅れにならないように虫歯を治しましょう。
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- Q.虫歯になりやすい人となりにくい人の違いはなんですか?
- A
確かに、虫歯になりやすい人もいればなりにくい人もいます。
違いとしては、さまざまな理由が考えられますが、歯並び、歯の質や形、唾液の量などの要因が大きく関わっているといえます。その他には、食生活、や歯の磨き方などの日常生活も影響します。
歯磨きを毎日かかさずしていても、基本的な磨き方が間違っていれば、汚れが落ちずに菌を寄せ付けやすくなってしまいます。また、一度虫歯になると、治療した歯は虫歯になっていない歯と比べ再発のリスクが高くなります。