根管根充とはどのような状態のことをいうのか
2018年05月27日
やむを得ず神経を抜いてしまった歯は、歯の根っこにできた空洞を洗浄・消毒を繰り返しおこなう「根管治療」をおこないます。今回はその後施す「根管根充」についてご紹介します。
■根管根充とは?
根っこの治療中のことを「根治」と呼ぶのに対し、根っこの中が綺麗に治ったあと先の部分までお薬をしっかり詰めて蓋をする治療を「根充」といいます。
〇神経が無くなった歯なのに詰める必要があるの?
根っこの治療が終わっても、歯の中に空洞があると細菌感染してしまう恐れがあります。せっかく根っこの治療が終わっても、根充やその後の治療を受けないままでいると危険です。根っこが再度病変し、顎の骨を吸収するなどの悪影響をもたらすこともあります。
そこで、神経が無くなった空洞(歯髄腔といいます)に隙間なくお薬を詰める根充をおこなう必要があるのです。
■根管根充治療の流れ
まず根っこの先端までの長さを器械で計り、その深さまで歯科材料を詰めます。その後レントゲン撮影で根っこの先までしっかり隙間なく材料が入っているのを確認したら歯の表面の穴を塞ぎます。根充の方法はいくつかありますが、ポピュラーな材料が「ガッタパーチャ」という熱によって変形しやすくゴム質感のある材料を用いた方法です。
〇側方加圧根充法
メインとなるガッタパーチャを、あらかじめ計測した根っこの長さで折り曲げるなど印を付けておきます。そして先端に糊のような役目をする薬剤を付け根っこに挿入。その後周りのすき間を埋めるように、アクセサリーポイントと呼ばれる細いガッタパーチャにも薬剤を付けながらを周りに押し込み、熱した器具で横からの圧力をかけつつ隙間を埋めていく方法です。
〇垂直加圧根充法
歯の根っこの太さのガッタパーチャをある程度熱して軟らかくなった状態で挿入し、器具で根っこの先の方向に向けて垂直に圧力をかけて押し込んでいきます。そして圧力をかけて穴が残った部分にさらにガッタパーチャを追加して再度圧力をかけることを繰り返しながら隙間を埋めていく方法です。
■根管根充のあとは?
根っこの状態が落ち着き予後がよければ人工的な修復物(銀歯や差し歯等)で歯冠の形状を修復します。神経が無くても根充して歯冠を修復すれば問題なく使えるようになりますが、中には根充後も根っこの予後が悪くなり、再度歯の根っこの治療をすることになったり、最悪の場合抜歯することになるケースもあります。ですから、表面上は治ったようでも定期的に検診を受けることをおすすめします。